肝斑・シミ・くすみ、色素タイプ別の治療設計はどう違う?

2026年9月2日

  • 美肌レーザー

TL;DR: 顔が暗く見える原因は、肝斑・シミ(日光性色素斑)・炎症後色素沈着、そして角層や血管の状態によるくすみが重なっていることが多く、レーザー一つで整理できる話ではありません。肝斑に使う低出力1064nmのレーザートーニングは比較的根拠が積み上がった方法ですが、臨床試験では1〜3ヵ月時点の改善が6ヵ月以降には維持されなかったという報告があり、シミに使う高出力照射はアジア人で反跳性の色素沈着が起きやすいことも分かっています。江南院では診断で色素の層をまず分け、滞在日数と回復の余力に合わせて出力と間隔を設計します。

こんにちは。江南院代表院長のキム・ヨンジンです。診察室で最も多い会話は、色素治療でどの機器を使うかではなく、顔に混在する色素をいくつのタイプに分けて、それぞれに別の計画を立てるかという話です。この記事では、当院が色素タイプをどう区別し、同じ患者さんでも回によって出力を変える理由、そして2〜7日のソウル滞在の中で実際に始められることを整理します。

顔の色素は四つのタイプに分けて考えます

「顔がくすんでいる」という訴えの背景には、たいてい複数の原因が混在しています。診察ではまず次のように区別します。

タイプ 主に位置する深さ 臨床的特徴 治療の核心
肝斑 表皮から真皮にかけて、真皮の炎症・血管成分を伴う 両頬に境界のぼやけた茶色い斑 色素破壊よりも活動性を抑え、再発を管理すること
シミ(日光性色素斑) 主に表皮 境界が比較的はっきりした点状の茶色 病変単位での照射と、術後の回復期管理が結果を左右する
炎症後色素沈着(PIH) 表皮・真皮のいずれもあり得る ニキビ・施術・刺激のあった部位に残る色 追加の刺激を与えない順序設計
くすみ(トーン低下) 色素以外の要因が大きい 角層・赤み・乾燥・肌理による光の散乱低下 色素用の機器より角層バリアと水分、血管ケアが先

この区別が必要なのは、各タイプに有利な照射条件と施術間隔が互いに矛盾するからです。シミを早く消す照射条件は肝斑を刺激しやすく、肝斑を安定させる低出力条件はシミにはほとんど効きません。一回のセッションに全部を詰め込もうとすると、どちらも中途半端になります。

肝斑への低出力トーニング、その根拠が終わる地点

低出力1064nm QスイッチNd:YAGレーザー、いわゆるレーザートーニングは、肝斑において比較的臨床根拠が積み上がった方法です。2026年に医学誌『Cureus』に掲載されたランダム化比較試験の系統的レビューとメタ分析では、レーザーの種類別サブグループ解析の結果、低出力QSNd:YAG 1064nmが肝斑の重症度を統計的に有意に減少させたと報告されています(平均差1.47)。

問題は持続性です。2025年の『Scientific Reports』に発表された分割顔試験では、肝斑患者28名が登録され、21名が5〜10回の施術と追跡調査を完了しました。MASIスコアは施術後1ヵ月と3ヵ月の時点で基準値に比べて有意に低下しましたが、6ヵ月と12ヵ月の時点では有意な変化が確認されませんでした。一方でメラニンインデックスは併用群で12ヵ月まで低く維持されています。この結果を診療の言葉に置き換えると、トーニングは肝斑の見た目を数ヵ月単位で抑える手段であり、その先は日々の光防御と維持ケアが結果を決めるということです。

間隔を詰めると別の問題が起こります。2019年の『Journal of Clinical and Aesthetic Dermatology』に掲載された報告では、週3回のペースを2ヵ月続けてレーザートーニングを受けた23名全員の両側に、色が抜ける斑状の低色素症が発生しました。著者らは、自施設では2週間より短い間隔で施術を行わないよう勧めると述べています。毎日や週3回のトーニングを希望される方が実際にいらっしゃいますが、当院が間隔を空ける理由はここにあります。色素の抜けは、いったん起こると色素沈着より修正が難しいものです。

肝斑で当院が併用療法を基本に据えているのも同じ理由からです。『Dermatologic Surgery』に2018年に掲載された文献レビューでは、アジア人の肝斑に対して1日500mg程度の低用量経口トラネキサム酸を8〜12週間の短期投与しても有効性が確認され、副作用は概ね軽度だったとまとめられています。ただし経口薬は血液凝固に関する既往、ホルモン剤の使用、妊娠・授乳の有無によって処方できるかどうかが変わるため、当院では問診で確認したうえで判断します。

シミを消すときに伴う反跳性の色素沈着

境界がはっきりした日光性色素斑は表皮の病変なので、一度の照射で見た目にはっきり薄くなります。その次に起こりやすいのが炎症後色素沈着です。

2024年の『Journal of Dermatological Treatment』に掲載されたランダム化対照研究では、日光性色素斑に532nm QスイッチNd:YAGを照射した後、病変の55.3%でPIHが発生したと報告されています。これは同条件でこれまで報告されていたアジア人の発生率20〜50%より高い数値です。著者らは研究で使用した高いエネルギー(2.3±0.2 J/cm²)を原因として挙げ、施術後の紅斑と日中の屋外活動がPIH発生の予測因子だったと述べています。

施術翌日に終日の観光が予定されている方に強いシミ照射を入れることは、施術自体は成功しても3〜4週後に色がより濃くなって戻ってしまう確率を高める選択です。当院が予約段階で残りの日程と行動範囲を先に伺うのはこのためです。

すでに生じたPIHを扱うときは順序がまた変わります。2023年の『American Journal of Clinical Dermatology』の文献レビューは、有色皮膚のPIHは反応が一定でなく合併症のリスクもあるため、レーザーは外用薬に続く二次選択にとどまるとまとめています。色が残っているからといってすぐレーザーを追加するのは、原因を再び与えることになりかねません。

くすみは角層と血管が原因のことが多いです

「色素治療を何度も受けたのにまだくすんでいる」というご相談は少なくありません。検査すると、メラニン指標はさほど高くなく、角層が厚くなって光が均一に反射しなかったり、微細な血管の拡張で全体のトーンが暗く見えていたりする場合があります。この状態で色素用レーザーを繰り返すと、刺激だけが積み重なります。

このグループには、色素破壊ではなく順序を変えた計画を使います。まず角層バリアと水分状態を上げ、必要であれば肌理や血管成分を目標にした施術とスキンブースター系を組み合わせ、色素照射はトーンが整った後に最小出力から始めます。同じ顔でも頬骨の肝斑、額のシミ、頬の赤みをそれぞれ別の回に分けたほうが結果が安定しました。

診療室で色素治療を設計する順序

当院・江南院の進行順序は次の通りです。

  1. 診断: 色素が表皮にあるのか真皮成分を含むのか、炎症や血管の要素がどの程度あるかを確認します。ここでタイプの配分が決まります。
  2. 設計: タイプごとに目標を分け、滞在日数と帰国後のケアの実行可能性まで含めて回数と間隔を決めます。一度に全部入れる計画は立てません。
  3. 施術: 診断と設計を行った人がそのまま施術します。私はソウル大学大学院を卒業し、ソウル大学病院で研修を受け、アラガンのジュビダーム・ボトックスのfacultyおよびポテンツァ・ウルセラのZ Key Doctorとして活動しています。診断から施術まで同じ人が担当する体制は、色素治療において特に重要です。回ごとに出力を微調整するには、前回の反応を直接見た人が判断する必要があるからです。
  4. 回復管理: 施術直後の数時間とその後数日をどう過ごすかが、色素の結果に直接反映されます。

江南院には日本語・中国語・英語の通訳スタッフが常駐しています。色素治療は既往歴・服用中の薬・過去の施術歴・妊娠や授乳の有無まで確認しないと出力を決められないため、通訳を通す場合でもこの問診は省略せずに行います。

2〜7日のソウル滞在に色素治療を組み込む方法

短い滞在で色素治療の計画を立てるとき、当院が守っている基準です。

  • 初回来院で診断と1回目までは、おおむね可能です。肝斑は低出力から始めて反応を見て、次回の間隔は帰国後の予定に合わせてご案内します。
  • **シミへの強い照射は残りの日程を見て判断します。**照射後に屋外での日光露出が続く日程であれば、回を後ろに回すか出力を下げます。
  • **帰国日直前の強い照射は入れません。**かさぶたや赤みが出る時期に長距離移動や機内の乾燥が重なると、管理が難しくなります。
  • **回復の動線を日程に含めます。**江南院はUH FLAT SIGNATURE江南ホテルの建物2・3階にあり、施術後に移動なくそのまま客室へ上がれます。酸素カプセルとビタミン点滴はホテル宿泊者に無料で提供されます。施術当日の紫外線露出と移動時間を減らすことは、先に引用したPIHの予測因子とそのまま結びつきます。

施術の種類ごとにいつからメイクを再開できるかは、施術後のメイク再開はいつから?施術別の目安ガイドにまとめています。来院前に写真と既往歴を先にお伝えしたい方は、出発前のオンライン面談、韓国の皮膚科ではどこまで可能?も合わせてご覧ください。

帰国後の数ヵ月が結果を決めます

色素治療でよく後回しにされる工程が光防御です。有色皮膚のPIH予防を扱った『Australasian Journal of Dermatology』の系統的レビューは369例を分析し、全例がアジア人で95%以上がレーザー施術を契機に発生した例でした。複数の予防策のうち発生自体を一貫して減らしたのは日焼け止めで、外用ステロイドや全身投与のトラネキサム酸は結果がより一定せず、冷却air装置はむしろ悪化と関連していました。

防御の範囲も結果を左右します。2014年の『Photodermatology, Photoimmunology & Photomedicine』の二重盲検ランダム化試験では、肝斑患者68名を対象に8週間、SPF50以上の紫外線専用日焼け止めと、酸化鉄を含み可視光線まで吸収する日焼け止めを比較しました。全員が4%ハイドロキノンを併用した条件で、可視光線まで防いだグループの方が色素改善の幅が大きかったと報告されています。Helena Polena氏らが2025年に『Journal of Cosmetic Dermatology』に発表した研究も、肝斑のある女性42名を夏季の5ヵ月間追跡し、色付き日焼け止めと無色の日焼け止めの再発予防効果を比較しています。

そのため帰国される際、私は次回の施術計画よりも先に二つのことをお伝えしています。可視光線まで考慮した日焼け止めを毎日十分量使うこと、そして施術直後の数週間は日中の長時間屋外活動を避けること。これまで挙げてきた研究が共通して示している点です。

よくある質問|FAQ

帰国後、現地の病院でトーニングを続けても良いですか?

可能ですが、間隔と出力の情報を一緒にお持ち帰りください。先に触れた低色素症の報告のように、短い間隔での反復が問題を起こすため、当院では最後の回の条件と次回推奨時期を記録してお渡ししています。現地で機器が異なると同じ数値をそのまま使えないため、条件そのものより間隔と目標をお伝えいただくほうが安全です。

妊娠中や授乳中でも肝斑治療を始められますか?

経口トラネキサム酸のような全身投与の薬剤は、この時期には選択肢から外れます。残るのは光防御と刺激を抑えた外用ケアで、レーザーの可否は診察で個別に判断する必要があります。予約の時点でお知らせいただければ、その分の相談時間を確保します。

色素治療とリフティング施術を同じ日に受けても良いですか?

施術の組み合わせと肌状態によって変わります。熱を入れるリフティングと色素照射を同日に重ねると赤みが長引くことがあり、施術後の紅斑は色素沈着の予測因子として報告されています。エネルギー系施術の層別の違いはウルセラとサーマジー、選択基準は熱が届く層で決まるで別に説明しています。

何回受ければ終わりですか?

肝斑には「終了」という概念があまり馴染みません。臨床試験で改善が確認された期間はおおむね数ヵ月単位で、その後に指標が戻ったという報告があるため、当院では集中回と維持回を分けてご案内しています。表皮のシミは病変単位で終了が見込めますが、この場合は回数より回復期の管理が結果を左右します。

ご相談・ご予約

色素は一枚の写真だけではタイプを確定しにくいものです。ソウル滞在の日程と今気になっている部位をお知らせいただければ、診察のうえその日程で実際に組み込める計画を整理します。ご相談・お問い合わせはUH CELLクリニックで受け付けており、日本語・中国語・英語での対応が可能です。